2024年度 No.08

『誓いの井戸』石﨑善土師

創世記21章22~34節

…アブラハムはベエル・シェバに一本のタマリスクの木を植え、そこで永遠の神、主の御名を呼び求めた。…

メッセージ要約

 アブラハムとアビメレクは、2つの契約を結びます。一つは不可侵条約(22)、もう一つはアブラハムが掘った井戸の所有権を認める(30)。というものです。ゲラルの王、アビメレクは以前の経験から、アブラハムとともにいる神を恐れていたため、不可侵条約の締結を望みます。しかし、井戸のことについては知らなかったと言い逃れをします。
 井戸の所有権の契約のため、アブラハムは七匹の雌羊を送ります。雌羊は子どもを産むため、雄羊に比べ、とても貴重なものです。「七」と「誓い」は、ヘブル語では同じ文字を書き、発音は「シェバ」です。そして、「井戸」は「ベエル」と言います。「井戸」(ベエル)についての「誓い」(シェバ)を「七」(シェバ)匹の羊を介して行ったところから、その場所が「ベエル・シェバ」(誓いの井戸)と呼ばれるようになりました。この地は、イスラエルの人々が神と出会う場所として度々聖書に現れるようになります。
 アブラハムもアビメレクも、神を恐れ、神の前で契約をしようとします。アビメレクにも信仰があったのではないかと思えますが、両者の間には決定的な違いがあります。アビメレクは、神から自分の活動が妨害されることがないようにと契約を結び、契約を結んだことで、神に手出しをさせないように、上手い事やったと思っています。それは、この世における安堵、安心です。アブラハムは、契約した結果、最後に「主の御名を呼び求め」(33)、礼拝しました。この時アブラハムには、神の前に歩む天からの平安があり、神の手にある世界が輝いて見えたことでしょう。
 私たちが神を礼拝するのは、アブラハムと同じ、天からの平安を受け取ること、救われたときに感じたはずの、世界が輝いて見えることを思い返すためでもあります。アビメレクに、「神はあなたとともにおられます。」と言わせたアブラハムの神は、私たちとともにおられます。この世との関わりの中で生きる私たちですが、神の世界が輝いて見えたことを思い返しつつともに歩みましょう。