2023年度 No.49

『失意のアブラハム』石﨑善土師

創世記20章1~13節

…神は夢の中で彼に仰せられた。「そのとおりだ。あなたが全き心でこのことをしたのを、わたし自身もよく知っている。それでわたしも、あなたがわたしの前に罪ある者とならないようにした。だからわたしは、あなたが彼女に触れることを許さなかったのだ。」…

メッセージ要約

 春になり、新たな環境へ移る方もいるでしょう。そうでなくても、心機一転、スタートする方も多いことと思います。アブラハムは、ロト家族が住んでいた町が滅ぶのを見た場所から、ネゲブへ移住しました。それは、ロト家族のことを思い、生くる甲斐もなしと落ち込んだからでしょう。
 この移住で、アブラハムには良いところがありません。約束の地からの移住は、神から離れようとしたこと、神への信頼が揺らいでいることを意味しています。そして、以前も行った、妻を妹だと言って難を逃れようとする、かつての風習に戻り、神よりもその地方の人を恐れました(11,12)。
 ソドムとゴモラの町にたいする、とりなしが叶わなかったアブラハムは落ち込みました。このことは、とりなしをする全ての人に起こりますが、どうすれば良かったのでしょうか。聖書は直接答えを与えていませんので、それぞれが考え、受け止めるしかありません。
 そのようなアブラハムに対し、神の祝福は止みませんでした。神は、エジプトのときと同じように、相手の王に働きかけ、約束の子の母となるサラを守り、王を通してアブラハムに語り掛けます。神は祝福するものを守り導くため、敵対するものに働きかけて用います。そして、人が失敗をしても、愛し続けます。神の計画は何があっても進みます。そのような神だと知ることは、神への信頼と平安に繋がります。
 移住後にアブラハムがしていなかったことは、祭壇を築くことです。祭壇を築くとは、礼拝であり、神の前に出ること、共に歩むことです。アブラハムはそこから離れてしまったため、星を見上げて信じたことや、主が見離さない方であることも、約束の子に対する約束も忘れてしまっているように見えます。
新しい一歩が落ち込むようなものであったき、あなたは何を真っ先にしたいと願うでしょうか。